第682回 盛況なのが不思議でならない、六覺燈 2

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  • 2005年6月22日(水)
座るとレモン、黒酢、出汁醤油、赤ワインソース、
そして塩の入った細長い皿が目に付きます。
この店で食べる際、暗黙の了解事項が2つあります。
客に出された串の先が指す薬味をつけて食べること、
そして主人には決してワインの値段や品揃えを聞かない事、
の2つです。
特にこの店は「クロ ド ミャン」と同じく、
大阪風ワイン商売でしてリストを用意していません。
好みを伝えるだけで
主人やソムリエにワインと価格を任せるシステムです。
そしてどんな種類のワインがあるのかはっきり言いません。
連れが食い下がって聞き出そうとしたものなら、
主人の顔が引きつってきました。
しかし、何のワインがあるかまったくわからず
好みだけを言えといっても、
喫煙者のような素人は疑問をもたないでしょうが、
ワイン好き、ワインラヴァーにはとても辛い。
不親切でいい加減な店なのです。

肝心の串揚げに要するスペースがなくなってきました。
串揚げは敢えて論評するほどのものではないのですが、
15串くらいでしょうか、
海老、牛、銀杏、蓮根詰物、白身魚にトンブリ塗り、
茄子詰物など今時まったく珍しいものではありません。
どれも一口タイプで
コース一回りしても充分お腹一杯になるかは別、
その分ワインで補充することになります。
オーストリア主体の、主人が黙って出してくるワインを
一人当たり1本飲んで御代は一人2万円数千円。
隣りの席では、
オーブリオンという1級ボルドーを開けていましたが
いくら請求されることか。

カレッタやヒルズにも誘われたけど断って銀座にでてきた、
バーニーズの客が店に流れるのではなく、
店の客がバーニーズに流れているんだと、主人は強気の発言。
今は大阪の店に通っていた
東京からの出張客で賑わっているようですが、
新たな客層を開拓できるのか、
この串揚げではCPが悪いだけに疑問です。

<結論>
ワインに拘る串揚げ屋との評判ですが、
売り方とタバコの煙に問題があり、
ワインに拘る人にはお勧めできません。
どちらかというと、
業界人など
「本人は『通』のつもりでも実はワイン素人」に向いている店。
癖がある主人で、
緊張感もあり串揚げ版「次郎」のようなものでしょうか。
価格も明瞭とは言えませんが、
安いワインは5~6千円からあるようです。