第554回 ミシュランは回収していますよ、犬養さん

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  • 2005年2月14日(月)
1月29日付けの読売の朝刊を読んでいたら、
7面に面白い記事をみつけました。
「ミシュラン格付け談合!?」という見出しですが、
俗に言うところの「談合」という意味ではなく、
「癒着」といった意味合いで使われたようです。
2005年ベネルスク版のミシュランで、
印刷の時点で開店していなかった店に
「おいしんぼマーク」をつけていたことが発覚し、
5万部の回収を決めたとのこと。
最近は「裏ミシュラン」といった
元調査員が実態をばらす暴露本がでるようになり、
その権威にいくらか?がついてきた矢先のこの失態ですから、
信頼回復はかなり遅れそうです。

でもさすがは「ミシュラン」。
オープン前に勝手に評価付けしたことが
発覚したためではあるでしょうが、
潔くその回収を決めたのは、
レストランガイドとしての矜持を持っているからでしょう。
そこで私が瞬時に思い出したのが、
末はミシュランの調査員になるのが夢と語っていた、
レストラン・ジャーナリストの犬養裕美子さんの
「東京ハッピー・レストラン」という本です。
2003年12月18日が初版のこの本、写真を多用した
綺麗なカラー刷りで、編集、校正、校閲に加えて
色あわせなど手間がかなりかかるはずですが、
オープンが設備の関係で遅れてしまい
その年の11月下旬になってしまった
「レ クレアシヨン ド ナリサワ」をなんと、
いの一番に最初の2ページをつかって
べた褒め、宣伝していたのです。
彼女流の何だかわからない採点方法で
ランク付けをしているようですが、
明らかにこれはフライングであると
私は以前のコラムで問題提起しました。

カラーでない本でさえ、
脱稿から出版まで優に1ヶ月はかかります。
まして、カラー写真入りの本です。
とても11月下旬のオープン後に取材してから
変な採点法で評価しランク付けを決定、
その後原稿をかいていたら、
3週間弱で出版できるはずがありません。
この店の部分だけ残して既に本造りを先行し、
「ナリサワ」はオープンしてから取材して急いではめ込んだ、
との苦し紛れの言い訳をするかもしれませんが、
訪問した具体的な日時や証拠を挙げられるでしょうか。
仮にそうだとしても、いの一番にしかも2ページ使って取り上げる
「ページ割り」をとっくの昔に決めていたことになります。
本を出版するのは、そのページ割りが重要なのです。
11月下旬のオープン時にはすでにページ割りが終わっていなければ
12/18に出版は不可能なのです。
つまりオープンしていないのに、いの一番のお勧め店として、
巻頭を飾るトップの店に最初から決めていたのですから、
ミシュランの「談合」と同じです。
いくら成澤氏と親しいといっても、
肩入れしすぎでジャーナリストの名が恥じると思わなかったのか。

片や回収、片や回収どころかTV露出も増えての八面六臂のご活躍。
ジャーナリストと自称しているのですが、
彼女はまったく「ジャーナリズム」なる精神は
持ち合わせていないことがわかると思います。

マガジンハウスなり、
彼女が取締役になっている所属会社「レダック」なりに、
また本人に今回の「ミシュラン回収騒動」について
コメントを求めてみたら、どう回答するでしょうか。
ノーコメントなのでしょうね。

TV局というか放送会社の方針やコンセプトが
今問題になっております。
契約しているTBSはどう判断しているのか、
それとも彼女の存在やその本自体が
ミシュランと比べたらまったく些末なことで、
問題にするまでもないということなのでしょうか。