| |
第4回 1万円和食の主人たち、このまま勘違いしないでね |
今回の3店は、いずれも評判は上々、小規模で有名店出身であります。
「津之守坂 よねやま」
曙橋駅から徒歩で10分。「たけがみ」、「東山 織田」出身だからか最後の〆は蕎麦ですが、この店のウリは必ずでるという小鍋料理です。一人1万500円のコース1本。カウンター5席にテーブルが数卓の小さなキャパで、ブリ大根、鰆の西京焼きなど、うなる食材や調理ではない地味な割烹料理が続きますが、背伸びしていないだけに好感がもてます。立地の妙もあるでしょうが、今のところ集客も順調。冬の時期の1万5千円フグコースは、この価格では期待しない方が良いでしょう。
「霞町 すゑとみ」。これまた観光化してしまった感があるビッグネーム、「分とく山」出身の人が、その発祥の地にオープンしました。あまりマスコミに露出していないのは、出版社側の「分とく山」への配慮からでしょうか。はっきり言って本家の1万5千円料理より、この店の1万円料理の方がはるかに食後感はいい。CPの差は歴然です。訪問は冬季、傑出した食材ではないですが、手をかけた八寸、淡路の鯛の造りに、アマダイからセイコガニ、そして〆の桜海老ご飯まで11種の料理に本家の大量生産料理にない真摯さを感じます。10年変わらない質の悪いトコブシのような鮑の磯焼きを本家で食べるくらいなら、私はこの店をお勧めします。でもあまり繁盛すると本家からプレッシャーがかかるかも。
「新ばし 笹田」。こちらもビッグネーム「京味」出身の主人による、奥さんと二人のカウンターだけの店。見た目とは違ってまだ30台で業界の大物になったと勘違いして新店を推薦、紹介しまくっている人気鮨屋「しみづ」の清水氏。名伯楽を気取っているのでしょうか、この店も彼の目に留まったようで、自店で常連客に勧めていたようです。ズワイのメス、淡路の鯛の造りから〆のご飯まで10皿前後の料理は、京味とはレベルが違うものの、わかりやすい味で悪くはありません。寿司屋を居抜きで入ったからか、カウンター席の割に椅子が高すぎて膝が当たるなど居心地は悪いですが、今のところ夫婦の謙虚な接客には好感が持てます。
この3店、CP的には「すゑとみ」が頭抜けていますが、他の2店も銀座の人気店「あさみ」や「うち山」より食後感がいいのは、無理な利益を追求せず、手をかけて調理しているからでしょう。今後も勘違いせずこの姿勢を保っていただきたいものです。